
Sofa
僕はソファが好きである。木でしっかり作っているのに、木が見えなくても良いぐらいソファは特別なのである。
当時、若きぼくが初めて作品展をすることになり、その中には、もちろんソファがしっかりあった。
鮮やかなブルーのモケットで背にはボタン閉めがあるクラッシックでかっこいいソファだった。
テーブルやチェストなどよりも、感情の入るところが違っていて、たぶんそれは例えるとバイクでなのである。
車でなくバイク。
僕は、家具の中のバイクとともに、森の中へ、海へ出かけたことがある。
今思えば、作品展のプロモーションの撮影を兼ねたツーリングであった。
森の中も良く似合っていた、違和感がないどころか、こんな気持ちのいいリビングはないんじゃないかって思うほど。
海は潮風が気持ちいいが、なんだかちょっと長くは居られない。車庫に入れたくなる心境。
ただ、時間帯によっては、最高の夕日を眺めることができて、ブルーのモケットのソファは美しかった。
日の入り直前には、色はなくなり、光と影の世界になり、静かにボタンが浮かび上がった。
美しいを超えて恐いほどだった。
ソファは、ぼくにとって愛車という入り方なんだよな。